歯周病の歯石除去
歯科医の内輪話
歯周病タイプの方は、歯周ポケットが浅くても、
歯周ポケットの中をよく見て、歯石を取る必要があります。
歯周病の治療のため、当院にお越しになり、
お口のお手入れを一生懸命頑張っておられます。
当院の治療で、良い結果が得られればいいと願っています。
上の前歯です。歯周ポケットの深さは3mm程度。
あまり深くありません。歯と歯の間では、よくある数値です。
歯茎の縁に、歯石が黒く見えています。
この歯石を取れば良い。実は、そう簡単にはいかないのです。
歯茎をよけて見ますと、案外大きいことが分かります。
超音波スケーラーで歯石を取ります。
取れた歯石です。ここで安心してはいけないのです。
歯茎の中を確認します。取れたようですが・・・
さらに奥、ポケット底部を見ますと、やはり歯石が残っていました。
ですから、歯周病タイプの方は、見かけ上歯周ポケットが3㎜程度でも、歯周ポケットを広げて、よく調べないといけないのです。
治癒傾向にある歯茎は、硬さが増してきますから、あわてず、ゆっくり歯茎を広げないと底まで見えません。
時間がかかりますが、頑張ってやりましょう。
超音波スケーラーで歯根を傷つけないように、慎重に歯石をとります。
スケーラーの強度を調整し、スケーラーのチップの当て方も工夫します。
前歯ですので操作自体は難しくありません。
歯周ポケットの底まで確認します。
歯石は取れ、根面に汚れも残っていないようです。
さらに奥を見ますと、歯周ポケットの底部に大量に歯石が残っています。
こういうポケット底部の歯石をきっちり発見して、除去していきたいものです。
除去したところです。この根面に歯茎が付着してくれるのを期待します。
治りが悪い様ですと、再度チェックする必要があるでしょう。
奥歯の後ろ側。5mmの歯周ポケットがあります。
とても処置が難しい場所です。
歯茎を開いてみますと、大きな歯石がありました。
この様な場所は、肉眼ではとても見えません。
マイクロスコープが必要ですし、ポケット内を乾燥したり、ミラーをきれいに保つ必要もあります。
除去後。
こういう場所は、スケーラーのチップが、歯にきちんと当たってくれません。
とても難しい場所です。
奥歯の歯と歯の間も難しい場所です。
見えないのです。
3mm程度の歯周ポケットですが、これをバカにしてはいけません。
たぶんとても汚れているはずです・・・
歯茎はこんな感じです。きれいではありません。
よごれも少し見えます。
歯茎の中には、このように大量に歯石が付いていました。
超音波スケーラーで歯石を取ります。
きれいな根面になりました。
下の前歯です。9mm程度の歯周ポケットがあります。
ほぼ根の先まで歯周ポケットが深くなっています。
この歯はグラグラですから、レジンで固定しています。
ポケットの中には、こんなに歯石が溜まっています。
根面のデブライドメント後です。ほぼきれいになったと思われます。
これで、歯茎が良い状態になってくれるのを期待したいと思います。